Sylenth1で150ユーロ詐欺られたけど取り返した話
regunです。DTM関連製品もサマーセールの時期になったので音屋諸賢の財布の紐もだいぶゆるゆるになっているものと思われます。皆さんの財布はお元気ですか?
私は欲しいものとなると洗いざらいセール情報を調べ上げて最安値になる時期を狙って買うのですが、その時期を待つのは結構つらかったりします……
そこで私が何回か利用しているのはライセンス移譲の仲介をするサイトです。
読者がヒリついた顔をしているのが目に浮かぶので誤解がないように言っておくと、このサイトの規約ではベンダーがライセンス移譲を認めている商品のみ出品できるようになっています。また、セキュリティのためpaypalによる買い手保護適用のかたちでお金のやり取りをします。
私がここで初めて買った商品はあのVengeance SoundのVPS Avengerです。120ユーロで購入しました。為替の手数料含めて日本円で16kちょいですね。
当時、「こんなに安くてええのか……ていうか本当にこのサイトで買ってもいいのか……?」と怪しく思い、このサイトのリンクとともに直接Vengeanceに「このサイトで買おうとしてるんだけどどうやってライセンス移譲するの?」とメールを送りました。
もしこのサイトの利用を許さないのであればその旨のメールが来るはず……
しばらくするとVengeanceのサポートからメールが返ってきました。
なんと懇切丁寧にライセンス移譲のやり方について教えてくれました。最初からライセンス移譲の手数料(30ユーロ)を上乗せしてもらったほうが安全だよとまで。
ちなみにこの話を出品者としたところ、なんともうその分は上乗せされており実質私はAvengerを90ユーロで購入することになりました。聖人過ぎる。
というわけで、ふつうに取引できるサイトなんだなあとすっかり気の抜けた私はこのサイトを欲しいプラグインを購入する選択肢の一つにしていきます。
あんなことが起きるとはつゆ知らず……
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LennarDigitalのSylenth1。言わずと知れた世界的シェアを誇るソフトシンセです。
ただここはめったにセールをやらず、割引率もやるごとに異なりかなり幅がある。
どうしても安く手に入れたかった私はサイトをしつこく見張り、出品されるのを待ちました。そしてあるとき、
「75ユーロ!?!?!?」
椅子から転げ落ちた私はすぐに購入ボタンを押す……ようなことはせず、念のため連絡が取れる相手かどうかを確認するため出品者にメッセージを送りました。
すると1時間後に返信が。けっこうはやい。
大丈夫そうだなと思った私はpaypalで75ユーロを送金しました。そのことを伝えると……
どうやら私が送金した出品者のpaypalのアカウントはつくったばかりのサブ垢で、21日後までは受け取れないとのこと。
そして本垢に送金してくれたら嬉しいよと言ってくるではありませんか。
さすがに……と思った私は「今の送金キャンセルしようとしたけどできなかったから今のままでなすまん」と返信。この間に「ライセンス移譲のためのメールをLennarDigitalに送ったよ」との知らせも受けます。
するとすかさずこう返されました。
先ほど支払った75ユーロは返金したとのこと。paypalアカウントにログインして確認してみると確かに返金されていたので、これで本垢に送らざるを得なくなりました。
加えてpaypal手数料の分を上乗せして払ってくれないかとも言われましたが、返金される75ユーロは為替の変換手数料分が差し引かれた金額のみ返ってくるので既に私に損失が出ています。
よって優しく断りました。
「75ドルのまま取引を続けてくれませんでしょうか?」とバカ丁寧にお願いすると、
「問題ないよ!」といった直後に「家族への送金としてやれば手数料はかからないよ(ただセキュリティはなくなるけどね……)」との返信が。
説明すると、paypalの送金方法には2種類あります。1つは買い手保護を適用した個人間取引のための送金。なにか問題が発生しても異議申し立てをすることができ、返金処理が行えます。もう1つは家族への送金。これは実際身内への送金のために用意されているので、買い手保護がつかず問題が発生しても異議申し立てができません。
正直こいつはなんなんだ?という気持ちでしたが、返金してきたし今ここで私が取引をやめると言ったら彼になんの得もないだろうから詐欺ではないなと思った私は、本垢のほうに家族としてではなく買い手保護をつけた状態で送金を行いました。ただその送金方法については知らせず、送金したことだけ伝えました。
詐欺だったとしても「バカめ! 実はあのとき買い手保護をつけて送金していたのさ!」って言えるようにするためにね。
あとはライセンスが届くのを待つだけです。正直このときの私の気持ちとしては「ついにSylenth1が俺の手に……!」という感じでした。詐欺カナー?の気持ちは1%ぐらい。
結局、その日のうちに届くことはありませんでした。
次の日も。その次の日も。
「あれ、もしかして俺、詐欺られた…………?」
力のないメッセージを出品者に送ってみます。このとき正直5割ぐらいはまだ希望残ってた。
ここで気づく方がいると思いますが、右下のチェックマークが一つになってますよね。今までは二つ重なっていたのに。すなわち、いまだにこのメッセージは既読済みになっていません……
まあそれでも5割ぐらいの希望を残していた私はそのまま次の日まで待つことにしました。
翌日、既読がつかないことを確認した私はすべての希望を捨て去り、最後通牒を送ります。
「これで日曜日までなんのアクションもなかったらお前を詐欺師扱いするよ」という意を孕んでいて、今記事を書いている自分が見てもかなりドギツイ英文だな~と感じています。
結局日曜日まで何も起こらず、ここから私の取り返しパートになるかと思いきや……
?????????????????????????????
(クソデカ千鳥・大悟の?)
一応説明しておくと、paypalの規約上一度返金処理を行うとキャンセルできない仕組みになっています。だから私は安心して本垢のほうに送金を行ったのですが……これは何?
キレ散らかした私はもう許さんとばかりにpaypalのシステムにある「問題の報告」をしようとしましたが、なんともう返金処理がされているからシステム上問題の報告ができない……キャンセルされた返金処理自体にもシステム上問題の報告ができない……
この時点で私は出品者のサブ垢と本垢への送金で合計150ユーロ、
日本円にして2万円弱詐欺られたことになります。
ガチで焦りました。あのときあっさり返金したのはそういうことだったのか……という鮮やかな伏線回収っぷりに脱帽している余裕などなく、ただクソがよを唱えていました。
怒りで打ち震えながらpaypalにメッセージを送ります。
上の文章には今までのことが書いてあります。paypalにこの壮大?なストーリーを伝えるのは大変でした。
直接問い合わせたおかげで、このケースが問題報告に追加されました。審査するために情報を載せろとのことだったので、今までのメッセージのやり取り、直接売り手にメールを送っても反応がなかったことの証明のスクショを添付。
本垢のほうへの送金の問題報告もついでにpaypalのサポートの人に直接やってもらいました。直接やってくれるんですね……になった。
一応この記事は皆さまの今後にお役立てしていただく意図もあるので丁寧に説明すると、問題の報告は、売り手に連絡をしたのにもかかわらず返信が返ってこないことを前提に行われます。なので私は証明として仲介サイトのメッセージのやり取りだけでなく、売り手のpaypalアカウントのメールに連絡をして返ってこないことを確認したスクショを添付したわけです。
またこの問題の報告はそもそも前述したとおり、買い手保護を適用した送金でないとできません。売り手に言われて保護を外し送金して詐欺られたとしたら、もう泣き寝入りです。
問題の報告がなされた後、売り手にも見える状況説明のメッセージを送ります。これはpaypal側への申し立ての意も含みますが、どちらかというとpaypal側がこのメッセージを直接売り手に送り、反応があるかどうかを確認する意が強いです。
そして一定期間経過して売り手が何の行動も起こさなかった場合、paypalの審査が入ります。そこで認められれば無事返金処理がなされるわけです。
というわけで無事取り返せました。厳密に言うとpaypalの為替変換の手数料で800円ぐらい損してるんですけどね。結局paypalが一番強いってこと。
まあこれでわかったことはライセンス移譲の個人間取引で詐欺られて、ヤバムーブされてシステム上での問題の報告ができなくても、買い手保護さえつけていればpaypalへの直接報告で金は返ってくるよということですね。
みんなも個人間取引をするときは買い手保護を忘れずに。